前回(①)は金継ぎの基本と前準備について書きました。
今回(②)からはいよいよ実践です。
まずは、塗りや装飾ではなく、欠けを埋める作業です――少し地味ですね (^^;)
欠けた箇所に刻苧(こくそ)漆を充填し、それでも残る小さな凹凸を錆(さび)漆で埋めます。
塗りや装飾――こちらは見栄えしますよ――は次回(③)です。
下記の金継ぎキットを使います。
面取り
複数の破片を繋ぎ合わせるの補修の場合には面取り(縁の尖ったところを少し削って丸めること)するようですが、今回は欠け部分に充填する補修です。
また、欠けの中に釉薬が残っている場合はやすって(やする=やすりをかける)荒らすことで刻苧漆が定着しやすくするのだそうですが、今回は……
割れの断面に釉薬はなさそうですね。
これは……やすらなくてOKでしょうか? 私も初めてでして……(^^;)
今回はこの工程は飛ばして次にいきましょう。
欠け部分の充填
深い欠けなら刻苧(こくそ)漆と呼ばれる、天然素材で作ったパテのようなもので欠け部分を充填します。
欠けが深いかどうかの境目が1mmとのことで、今回は微妙な深さの欠けですが……まあ、刻苧漆で欠け部分を充填してみましょう。
刻苧漆作り
まず、小麦粉と生漆を混ぜて麦漆を作り、次いで、この麦漆に木粉と砥粉を混ぜて刻苧漆を作ります(ネットで色々検索すると、砥粉は入れなかったり、他のものが入っていたりと、色々な作り方があるみたいです)。
ひとまず麦漆を作ります。
水で練った小麦粉に、さらに生漆を混ぜ合わせます。
小「麦」粉と「漆」で「麦漆」ですね。
麦漆ができました。
粘り気がありますが、このまま麦漆をパテとして使うことは難しそうですね。
もう少し硬さが欲しいところです。
よって、ここに木粉と砥粉を混ぜて、刻苧漆を作ります。
刻苧漆にはしっかりと固さがあり、パテのように欠けた部分の充填に使えます。
充填
竹ヘラを使い、刻苧漆で欠け部分を埋めます。
深い欠けの場合には複数回に分けるようですが、今回は浅めですから1度にやってしまいましょうか。
もしかすると本来ならこのくらいの深さでも複数回に分けるのかもしれませんが……まあ失敗したとしてもそれはそれで良い経験と思ってやってみましょう。
充填できました。
表面に少々の凹凸がありますが、漆が固まった後にカッターで削ったりサンドペーパーで平らになるまでやすったりといった工程があるため、今はこのくらいで良いでしょう……良いと思います。たぶん。
漆風呂
漆風呂に入れて、湿度を保ちつつ1日以上待ちます。
漆風呂については前回(①)の記事で書きました。
削りと空研ぎ
1日と少し経って、刻苧漆が固まりました。
刻苧漆が大きく出ている部分があればカッターで削ります。
次に小さく畳んだサンドペーパーで刻苧漆部分の凹凸が無くなるまでやすります。
別の工程(後述しますが、錆漆が固まった後の工程)では水研ぎ(水を使う)するのですが、ここでは空研ぎ(水を使わない)のようです。
こんな感じでしょうか。
凹凸埋め
次は錆(さび)漆で小さな凹凸を埋めます。
錆漆作り
錆漆を作りましょう。
砥粉を水で練ったら、生漆を追加してさらに混ぜます。
凹凸埋め
欠け部分に(刻苧漆の上に)錆漆を塗ります。
漆風呂
漆風呂に入れて、湿度を保ちつつ1日以上待ちます。
水研ぎ
1日と少し経って錆漆が固まりましたので、水研ぎします。
耐水ペーパーに時々水を付けつつ磨きます。
なぜ水研ぎなのでしょうね?
一般的に、水研ぎは、空研ぎ(水を使わずにサンドペーパーで磨くこと)と比べて耐水ペーパーが目詰まりし難いという特徴があります。
これが理由でしょうか?
水研ぎだと摩擦熱の発生を抑えられるという特徴もあるようですが……今回はあまり関係なさそうですね。
最後に
今回はここまでにします。
③(下記リンク先)では塗りの工程を経て、いよいよ金粉を蒔きます。
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