金継ぎに挑戦①[欠けの補修:基本・準備]

器の欠け 技術

マグとソーサーの縁を欠けさせてしまいました。
いつか補修したいと思い続け……ついにそれが叶いました。

3つの記事に分けて書きます。
今回(①)は基本と事前準備について書こうと思います。
実際の作業は②や③(下記リンク先)にて。

金継ぎとは

「金継ぎ」とは、我が国における、器の伝統的な修復技法です。

漆を使う工芸全般を「漆芸」と言い、代表的なのはお椀を始めとした漆器を作る技法ですが、修復の技法も漆芸に含まれます。
漆(を含む天然素材で作った接着剤替わり、またはパテ替わりのもの)で割れた器を継ぎ合わせ、あるいは欠けてしまった部分に充填するのです。
こういった漆芸における修復の中でも、漆の上から金で彩り装飾するのが「金継ぎ」です。

通常、器を含めたあらゆるものの修復は……

「元通りに戻すことを目指すけれど、それは難しいからできるだけ修正する」
「傷・継ぎ目をできるだけ目立たないようにする」

ものだと思います。

一方、金継ぎは継ぎ目を金で装飾することであえて目立たせる点が他の修復技法にはない特徴で、破損前の器にはなかった新しい美しさを生み出す技法です。

仮に同じデザインの器が複数あるとして、それらを同じ高さから落として割ってしまっても、割れ方はそれぞれ異なります。
したがって、この2つの器をそれぞれ金継ぎすると、それぞれ異なる位置に継ぎ目――つまり金のラインが入ります。
個々の割れ方や欠け方により独自の美しさを生み出し、過去の失敗――割ってしまった!――にもポジティブな意味を持たせる技法です。

大事な器は、割れたり欠けたりしないよう大事に扱うでしょうし、破損すればショックでしょう。
でも、破損してしまったら切り替えて、新しい美しさを追求することで前向きに捉えます。

天然漆と合成漆

漆について調べてみると「天然漆」「合成漆」が見つかります。

伝統的な金継ぎでは、天然漆を使います。
漆の木の樹液から作られたもので、お椀などの漆器に塗られていることで日本人には馴染み深いですよね。

天然漆に触れるとかぶれることがあり、また天然漆が固まるまでには時間がかかるという欠点もあります。

一方、合成漆はより扱いやすく作られたものです。
ちなみに、「合成」なので、漆ではありません。漆っぽく作った漆でないもの、ですね。

合成漆はかぶれ難い(かぶれない、かな? 漆じゃないですしね)ため扱いやすく、また固まるのも早いのが特徴です。

ただし、合成漆は熱いものが触れる箇所の修復には適しません。
例えばコーヒーは、普通熱湯では淹れませんが、それでもそれなりの熱さです。
コーヒーカップやマグの修復に合成漆を使うのは、個人的には不安が大きいです。

私は天然漆を使います。

購入した金継ぎキット

これをもし自分で1つずつ揃えようと思ったら大変でしょうね。

なお、今回の購入品の漆は天然漆です。

「手順書」が入っていますが、youtube動画でも説明されているのが嬉しいところですね

事前準備「漆風呂」=「室(むろ)」作り

「漆風呂」=「室(むろ)」を作ります。
これは何かといいますと、内部の湿度を高く保った箱です。

そもそも漆は湿気を吸って固まるのだそうです
塗料や接着剤においては「固まる」=「渇く」とイメージしてしまいがちですが、漆はむしろ湿気が無いと固まりません。

プロの漆芸家だと木製のしっかりとした漆風呂を使う方が多いと思いますが、今回は家庭で使うだけですので段ボールを使います。
段ボールにビニール袋を敷き、濡らしたタオルや雑巾を入れます。
これだけで簡易的な漆風呂が作れます。

湿度を70~85%に保ち、20~30℃の部屋に設置すれば固まりやすいとのこと。

ビニール袋は、小さい箱に敷くならいわゆるレジ袋のようなもの、大きいものならゴミ袋が良いかもしれませんね。
タオルも必要で、私はいつだったかノベルティーとして貰ったものを使います。

最後に

今回(①)は基本と事前準備だけ書きました。
②と③(下記リンク先)では金継ぎします。

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