注湯量/抽出量 どちらを測る?

注湯量/抽出量 技術

コーヒードリップの補助器具ドリップスケール

計測すべきは「注湯量」か「抽出量」か……スケールを購入した方は迷うのではないでしょうか?
そもそも「注湯量」「抽出量」とはどういう意味で、どんなときにどちらを測るべきなのか、本記事でまとめます。

注湯量/抽出量 とは?

注湯量:抽出されたコーヒーだけでなく、粉やフィルターが吸うお湯も含めた重さ(下の左写真)
抽出量:抽出されたコーヒーだけの重さ
(下の右写真)

注湯量/抽出量

どちらを計測するかによってセッティングが上写真のように変わります。
抽出量を計測するにはドリップスタンドが必要です。

どちらを測る?

ドリッパー内のコーヒーを落としきるなら「注湯量」を計測し、落としきらずにドリッパーをどけるなら「抽出量」を計測することになります。

昔はドリッパー内のコーヒーを落としきらないドリップが一般的でした。
それも時代と共に変化し、今や落としきるドリップを実践する方も多いです。
昔と今のドリップの違いについては別記事(下記リンク先)で詳しく書きましたので、是非ご覧ください。

落としきるなら「注湯量」

ドリッパー内のコーヒーを落としきるなら「注湯量」を測ることになります。
狙った注湯量を注いだ後、お湯を落としきれば、安定して(何度淹れてもほぼ同様に)狙った濃さのコーヒーが淹れられます。

ドリップ

昔は「ドリッパー内に最後に残った雑味成分多めのお湯を落としきらない」というのが常識でしたが、近年では、おそらく競技会出場者の淹れ方が基になって、落としきるドリップも増えました。
確かに競技会で使われる豆は極めて高品質でしょうから、落としきっても雑味は少ないでしょう。

また、家庭で飲むコーヒーの場合、競技会で使われるものには劣るとしても、それでも以前と比べると質が向上しています。
さらに、焙煎度にしても浅煎りが増え、綺麗でクセの無い味わいのコーヒーが飲める時代です。

私は、高品質かつ焙煎度が浅く「引き算」するところの無い豆の場合、ドリッパー内のお湯を落としきるため「注湯量」を計測します。

落としきらないなら「抽出量」

ドリッパー内のコーヒーを落としきらないなら「抽出量」を測ることになります。

落としきらない場合、注湯量はコーヒー粉の保水力(水はけの良さ)により臨機応変に変えつつ、しかし抽出量は狙った量になるようにします。

ドリッパー(と、その他)

落としきるなら「注湯量」では、おそらくは競技会の淹れ方を基にして、落としきるドリップが増えたと記述しました。

ただ、我々が購入した豆が競技会で使われるものと同等の品質、なんてことはまずありません。
期待した味とは違うということも、残念ながらあるでしょう。

また、競技会では使わないであろう極深煎りの豆を自宅では使うかもしれません。
いくら高品質な豆を使っていても、深煎りはどうしてもキツい苦渋味が出てしまいます。

そんなとき、何らかの方法でキツさや嫌な味わいを「引き算」したくなります。

思えば、特に深煎りコーヒーのキツい苦渋味を「引き算」する技術が数多くあります。
例えば、お湯の温度を低めにする、短時間で淹れる、ネルドリップでコーヒーオイルを抽出することで口当たりを和らげる、などです。
そして、「抽出量」を計測し、苦渋味のキツい成分が集まった泡付近のコーヒーを落としきらないようにドリップするのも「引き算」技術の1つです。

最後に

「注湯量」計測と「抽出量」計測、この記事ではそれらを臨機応変に使い分けることを提案しました。

いつも「注湯量」(あるいは「抽出量」)を測ってドリップしていて、特に味に不満を覚えたことはないということもあるでしょう。
例えば自分で焙煎している場合、無意識にいつものドリップで美味しく淹れられるように焙煎しているはずだから、ドリップが「臨機応変」なのは良くない、ということもあると思います。

しかし、例えば購入したコーヒー豆の味が思った味と違うとき、手網(手鍋)焙煎しているけれど上手くいかなかったというとき、「そういえば」と思い出せるような頭の中の引き出しの1つに、この記事を入れて頂けたなら大変光栄に思います。

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