コーヒー豆の保存[温度・容器]

浅煎りコーヒー豆 技術

今回は、コーヒー豆の「熟成」の楽しみ方や「劣化」の防ぎ方についてまとめます。

コーヒー豆の変化

コーヒー豆は、生であればかなり長期間保存できますが、焙煎後は変化が加速します。

焙煎直後は、色々な味や香りがやたらと主張し、またときに煙臭さ・焦げ臭さがあったりと、理想的な状態ではないことが多いです。

その後はいわゆる「熟成」の期間で、焙煎から数日~1週間前後で味わいや香りのピークが来る豆が多い印象です。
ピークの時期は豆により、また焙煎により異なります。

さらに、味と香りのピークの時期が必ずしも重なるとは限りません。
どちらを重視するか、どちらの劣化をどの程度許容できるかなど、考えながら保存し、熟成を楽しみます。

分かれ道

味と香りのうち、劣化する時期は香りの方が早く、およそ2週間前後で人が気付く程度に香り成分が飛びます。
よって、焙煎から2週間以内に飲むのが良いなどとよく言われます。

劣化の代表のように言われる「酸化」が生じるのは、ちゃんと保存した場合は焙煎から1ヶ月~1ヶ月半程度経った頃で、不快な酸っぱさが生じます。

もう1つの酸っぱくなってしまう要因の「加水分解」は湿気に触れさせた場合にはすぐに生じてしまいます。

まとめると、豆・保存環境(温度)・焙煎により異なるものの、おおよそ下記のように言えます。

  • 焙煎直後~2週間程度:「熟成」の時期
  • 焙煎から2週間~1ヶ月程度:香りは少々飛んでも味の劣化はさほどでもない時期
  • 焙煎から1ヶ月以上:「劣化」の時期
カレンダー

保存環境・温度

より低温の場所で保存するほど、豆の変化(熟成も劣化も)はゆっくりです。
つまり、常温保存より冷蔵保存で、冷蔵保存より冷凍保存で、熟成も劣化も緩やかになります。

焙煎直後の豆を手に入れたら

もし焙煎直後の豆を手に入れたなら「熟成」を楽しみましょう。
常温保存して、毎日変化するコーヒーの味を楽しみつつ味や香りのピークを探ります。

ただし、暑い時期は野菜室に入れた方が良いかもしれませんね。

好みの熟成度合いのタイミングで冷凍庫に移せば、その状態をしばらく維持できます。

焙煎から2週間以上経った豆を手に入れたら

手に入れた豆が焙煎から2週間以上経っていた場合には、もう「熟成」を楽しむ段階にはないことが多く、「劣化」を防ぐことを考えます。

より低温で保存したいところです。
冷凍保存がベストですが、冷凍庫がない環境もあるでしょうか(例えば、キッチンではなく自室で保存したいけれど、自室には飲み物を保存する冷蔵庫くらいしかない、など)。
その場合は冷蔵庫で保存しても良いですが、できるだけ早く飲み切りましょう。

コーヒー豆

注意事項

粉より豆

コーヒーは必ず豆の状態で保存します。

挽いてしまうと、豆の状態より表面積が大きくなります。
これにより香り成分が揮発しやすくなり、加えて、酸素や空気中の水分と触れる面積も大きくなりますから、酸化/加水分解も生じやすくなるのです。

その結果、不快な「酸っぱさ」が生まれてしまいます。
私は昔、スーパーの棚に並んだコーヒーの粉を買っていた頃、この「酸っぱさ」がコーヒーの酸味だと思っていました(そういう方も多いのではないでしょうか?)。
今だからわかりますが、これはコーヒーが本来持っている果実のような酸味とは全く異なるものです。

コーヒー豆

結露に注意

常温保存より冷蔵保存で、冷蔵保存より冷凍保存で、つまりより涼しい環境の方がコーヒー豆の変化(熟成も劣化も)は緩やかです。
ただし、低温で保存する場合には注意すべきことがあります。

というのも、保存容器を冷蔵/冷凍庫から出してすぐに開けると、冷えたコーヒー豆や容器の内側の結露が原因でコーヒー豆が湿気る(加水分解の原因)ことがあるのです。

結露

これが嫌だからという理由で、常温で保存する方もいます。

あるいは、冷蔵/冷凍庫から出してから、常温になるのを待って保存容器のフタを開ける方もいます。
ただ、冷蔵/冷凍庫から取り出すたびに、常温に戻してまた冷やして、という温度変化が頻繁に生じることでコーヒー豆の質の低下に繋がったら……という懸念もあるでしょうか。
単純に待つなんて面倒という方もいるでしょう(ええ、私のことです)。

個人的には、冷蔵/冷凍庫から取り出した保存容器のフタを開けたら、素早くコーヒー豆を取り出し、速やかにフタを閉めるように心がける、くらいでも良いと思います。

保存容器

コーヒー豆を何に入れて保存していますか?

購入時点で焙煎豆が入っている袋のまま保存することをおすすめします。
わざわざ焙煎豆が空気に触れる機会を作ってまで袋から出してビンなどに移し替えるというのは、コーヒーの劣化を防ぐという観点からするとあまり適切ではありません。

コーヒー豆(袋)

口にジップ(と呼ぶのかな?)が付いている袋もありますが、そうでないものは下記のようなもので口を閉じます。

ビン、ボトル(密閉できるもの)

先述の通り、購入時点で焙煎豆が入っていた袋に焙煎豆を入れたまま保存することをおすすめします。

ただ、「ビンがお洒落なんだ。多少劣化しても移し替えたい」というこだわりも肯定します。

また、生豆をたくさん買って自宅で少しずつ焙煎している場合、「購入時点で焙煎豆が入っていた袋」なんて当然ながらありません。
その場合は自分で保存容器を用意することになります。

よく見るのは密閉できるガラス製の容器(たとえば下写真のような)かと思います。

キャニスター

外観も洒落ていますし、常温保存する方にとってこういった容器は便利です。

しかし冷蔵/冷凍保存する方はちょっと待ってください。

冷蔵/冷凍庫から出した容器をすぐに開けると、容器の内側が結露することがあります。
このとき分厚いガラスはプラスチックなどと比べるとなかなか常温に戻らず、それは結露する水分量にも影響するでしょう。

そこで、冷蔵/冷凍保存したいのならプラスチック容器をおすすめします。
プラスチックでも結露しない訳ではありませんが、ガラスよりは素早く常温に(あるいは結露しない温度まで)戻ってくれます。

また、下記の記事で紹介している容器もコーヒー豆の保存におすすめです。

最後に

最後まで読んで頂いてありがとうございます。
上手に「熟成」を楽しみ、また可能な限り「劣化」を防いで長く楽しめるように、普段考えていることを今回記事にしてみました。

私の場合、自分で焙煎しますので、基本的に焙煎からさほど時間が経っていないコーヒーを飲んでいます。
しかし、新しい豆だったら必ず美味しいかというと、実はそれほど簡単でもなくて、保存により味や香りは大きく変わります。
コーヒー好きの永遠の課題「保存」の記事は、今後も更新していこうと思います。

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