コーヒードリッパーの素材[樹脂、金属、ガラス、陶磁器]

器具

ドリップコーヒーを楽しむのに必須の器具、ドリッパー。

様々な素材のドリッパーが販売されています。
樹脂(プラスチック)、金属、ガラス、陶磁器……どれを選びましょうか。すごく迷いますよね。

今回はドリッパーの素材について

  • 熱の移動
  • 外観
  • 扱いやすさ

という3つの観点から書いていきます。

熱の移動

お湯の温度が高いほどコーヒー成分の抽出効率が高く、冷めれば効率が落ちます。
ドリップ開始時のお湯の温度を80℃~90℃台前半の間で調整する方は多いと思います。

しかし、せっかくここで温度にこだわっても、注いでから想定以上にドリッパーに熱を奪われてお湯が冷めてしまうと予定が狂いますよね。

温度計

ドリッパーによってはお湯の熱を奪い易いものもありますから、各素材の特性を知っておきましょう。

まずは、ざっくりと各素材のドリッパーを使用する際の注意点を挙げます。

  • 樹脂:お湯の熱が奪われることを心配する必要はない
  • 金属:ドリップに時間をかけるとお湯の温度が奪われるため、手短に淹れる
  • ガラス:お湯の熱が奪われることを心配する必要は(あまり)ない
  • 陶磁器:お湯の熱が奪われやすいため、予めお湯をかけて温めておく

なぜこのような点に注意するのかを考えるとき、考慮すべきは「熱伝導率」「比熱」「質量」です。
順番に説明しますね。

熱伝導率

「熱伝導率」という言葉は聞いたことがあると思いますが、これは熱が伝わる速さを表します。

少し詳しく表現すると、熱が「入ってくる」速さでもあり、熱が「抜けていく」速さでもあります。
ドリッパーの熱伝導率が高すぎると、ドリッパーがお湯の温度をあっという間に奪い、そしてあっという間に空気中に熱を放出してしまう……つまりお湯が冷めやすいということです。

ドリップ

各素材の熱伝導率は概ね下記の順です(あくまで概ねの順序です。「樹脂」「金属」「ガラス」「陶磁器」は色々な素材の総称であり、実際は各素材毎に熱伝導率は違います)。

  • [熱伝導率低い] 樹脂 < ガラス < 陶磁器 < 金属 [熱伝導率高い]

熱伝導率が高いほど(右に行くほど)、お湯から熱を奪い易く、空気中にその熱を放出してしまいやすいと言えます。

さて、ではドリップ中の熱の移動は全てこの熱伝導率だけで説明できてしまうかというと、そうではありません。
「比熱」と呼ばれる概念も関わってきます。

比熱

川の水が高いところから低いところへと流れるように、熱は温かいものから冷たいものへと移ります。
よって、お湯の温度とドリッパーの温度が同じになれば、温度の勾配が無くなり、理論上、熱の移動は安定します(ただし、空気中に抜けていく熱を無視すれば、です)。

このとき、お湯とドリッパーの初期温度のちょうど中間で安定するかというと、必ずしもそうなるとは限りません。

なぜなら「比熱」が素材(物質)毎に異なるからです。
「比熱」とは1gの物質を1℃上げるのに必要な熱量を表します。

比熱が大きいほど、お湯とドリッパーの温度が一緒になって安定する頃には、お湯の温度を大きく奪っています。

ドリップ

各素材の比熱は概ね下記の順です。

  • [比熱小さい] 金属 < ガラス < 陶磁器 < 樹脂 [比熱大きい]

比熱が大きいほど(右に行くほど)、お湯の温度を大きく奪ってようやく安定する(安定するまでにお湯を大きく冷ます)と言えます。

さて、各素材の比熱の順序を見て何を感じたでしょうか?
私は「樹脂の比熱が思っていたより大きい!」と驚きました。
比熱が大きければ安定するまでにお湯の熱を大きく奪うはずなのですが、樹脂製ドリッパーにお湯を冷ましやすいイメージはないのです。

なぜ樹脂製ドリッパーのイメージと実際の比熱がこれほどチグハグなのかといえば、その要因は2つ。
1つは、先述した熱伝導率の低さゆえに、温度が安定する前にドリップが終わることが多いため。
そして、もう1つは「質量」が小さいため、です。

質量

比熱の定義について「1gの物質を1℃上げるのに必要な熱量」であると先述しました。
こんな概念が定義されているということは、つまり「物質の温度を上げるのに必要な熱量は質量に比例する」はずですよね。
学校のお勉強みたいになってしまいましたので、もっと身近な言葉で表現しましょう。
語弊を恐れずにざっくり表現するなら、「重い物質(素材)ほど周囲からから熱を奪い易い」のです。

天秤

各素材の質量は概ね下記の順です。

  • [軽い] 樹脂 < 金属 < ガラス < 陶磁器 [重い]

重いドリッパーほど(右に行くほど)、お湯の温度を大きく奪ってようやく安定する(安定するまでにお湯を大きく冷ます)と言えます。

まとめ

少々説明がクドくなってしまいましたので、ここまでに紹介した「熱伝導率」「比熱」「質量」について、各素材の順番をまとめましょう(右に行くほど、お湯の温度を奪い易い)。

  • [熱伝導率低い] 樹脂 < ガラス < 陶磁器 < 金属 [熱伝導率高い]
  •  [比熱小さい] 金属 < ガラス < 陶磁器 < 樹脂 [比熱大きい]
  •     [軽い] 樹脂 < 金属 < ガラス < 陶磁器 [重い]

外観

ガラスの上品さや陶磁器の味わい深さには惹かれますよね。

ドリップ

コーヒーの味や香りに影響がない「外観」で器具選びをして「で? コーヒーの味は変わるの?」と言われたことがありますが、コーヒーが趣味なら1番重要なのは楽しむこと。
器具の外観で気分が上がるなら、外観も極めて重要な要素です。

扱いやすさ

扱いやすさを重視するなら「強度」と「軽さ」は無視できません。
その点で、樹脂製と金属製のドリッパーは扱いやすく感じるでしょう。

陶磁器製、ガラス製だと割れそうで怖いですが、樹脂製や金属製は割れることはありません。
もちろん、割れなくても、欠けてしまったり、特に樹脂製であれば熱源に近付け過ぎて溶けたりといったことはあるため注意が必要ですが、それでも割れる素材より扱いやすいのは間違いないでしょう。

ドリップ

また、軽いドリッパーは扱いやすいと感じると思います。
樹脂製が軽いイメージは強いでしょう。
逆に金属は重いイメージかもしれませんが、その強度から薄手に作ることができるために実は金属製ドリッパーは比較的軽いのです。

出張や旅行、アウトドアに持ち出すのにも、樹脂製や金属製は便利です。

各素材のまとめと、おすすめドリッパー12選

ここまでに書いてきたことを基に、各素材の特徴をまとめましょう。

樹脂

ドリップ

お湯の熱が奪われることを心配する必要はありません。
熱伝導率が低く、温度が安定する(お湯とドリッパーが同じ温度になる)前にドリップが終わることが多いはずです。
もし例外的にドリップが長引いた場合にも、比熱が大きいとはいえ質量が軽いため、さほどお湯の温度を奪わないうちに安定します。

軽く、また欠けることはあっても割れることはないため、扱いやすいはずです。
普段からあまり気を使い過ぎずに使えて、旅行やアウトドアに持ち出すのにも適した素材です。

金属

ドリップ

ドリップに時間をかけるとお湯の温度が奪われるため、手短に淹れることを意識しましょう。
熱伝導率が高いためお湯の温度を素早く奪うものの、比熱が小さく質量もさほど重くはない(薄手の製品が多い)ため、お湯の温度を少し奪うだけで安定する……と良かったのですが、ドリッパーから空気中に抜けていく熱量も多く、ドリップが長引くと冷めやすいため注意が必要です。
予めお湯をかけておいても(リンスしても)すぐ熱が抜けるのであまり意味はなさそうです。

質量がさほどではなく強度もあるため、扱いやすい素材です。
その強度から、出張や旅行、アウトドアに持ち出すのにも最適です。

ガラス

ドリップ

お湯の熱が奪われることを心配する必要は(あまり)ありません。
ガラスは何となく「冷たい」イメージがあり、お湯の温度を大きく奪うように思えるかもしれませんが、実際は、熱伝導率や比熱が小さく、樹脂製よりは重いとは言え陶磁器ほど重くはないため、それほど多くの熱をお湯から奪うことはありません。

また、ガラスの上品さと透明感は他にはない魅力です。

割れないように注意が必要な点は気になりますが、魅力的な素材であることに間違いはないでしょう。

陶磁器

ドリッパー(+カップ)

お湯の熱が奪われやすいため、予めお湯をかけて温めておきましょう。
陶磁器は、樹脂製はもちろん金属製やガラス製と比べても重さがあり、比熱や熱伝導率が大きいことから、熱を奪いやすい素材と言えます。
ただし、比熱と質量が大きいことから、陶磁器のドリッパーがしっかり温まるまでリンスすると熱をたっぷり含んでいますから、熱伝導率が高いとはいえドリップの間くらいは保温されるでしょう。

上品さと味わいを両立した外観という点で魅力的な素材です。

割れないように注意が必要で、重さもガラス以上のため、アウトドアなどへの持ち運びには不向きです。

最後に

いかがでしたでしょうか。
特に熱の移動の項目で少々理屈っぽくなってしまいましたが、少しでも「腑に落ちる」説明となるよう心掛けて書いてみました。
この記事が皆さんのドリッパー選びの役に立てば幸いです。
最後までお付き合い頂いた皆さん、ありがとうございました。

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