精製(Processing)とは、コーヒーの実から種(コーヒー豆)を取り出す行程のこと。
この記事では、その中でも代表的な2つの精製法「ナチュラル」と「ウォッシュト」についてまとめます。
他の精製法もあります。下記の記事にて。
コーヒーの実の構造
精製法の話に入る前に、コーヒーの実の構造について記述します。
コーヒーの実は、外側から、皮・果肉・ミューシレージ・パーチメント・シルバースキン・種(コーヒー豆)の順で層になっています。
このうち、皮~パーチメントを除去・脱穀し、シルバースキンに包まれた種を取り出すのが精製です。
精製法
ナチュラル(Natural)
ナチュラル精製、あるいは単にナチュラルと呼ばれます。
別名は乾式(Dry)精製といい、こちらの呼び名の方がこの精製法の特徴をよく表しているかもしれませんね。
コーヒーの実を天日干しにして、しっかり乾燥させます。
カリカリに乾燥させたら倉庫などで保管し、出荷直前に脱穀します。
脱穀では皮~パーチメントが一気に割れ、シルバースキンに包まれた種(コーヒー豆)が出てきます。
天日干しにしている間に果肉の味や香りが豆に移り、赤ワインのような濃厚な風味となります。
ウォッシュト(Washed)
ウォッシュト精製、あるいは単にウォッシュトと呼ばれます。
湿式(Wet)精製という呼称もあります。
コーヒーの実の皮と薄い果肉を除去すると、パーチメントに包まれた種(パーチメントコーヒー)が通常2つ出てきます。
その表面はミューシレージという粘性のある層に包まれています。
ミューシレージは強引に引きはがしたり擦り取ったりするのではなく、水につけてその中の微生物に分解させます。
こうして取り出したパーチメントコーヒーを水でしっかり洗い……
そして乾燥させます。
上の写真は、我々が知るコーヒーの形とよく似ていて「これを煎るのか」と思うかもしれませんが、実は違います。
これはパーチメントに包まれた状態で、パーチメントコーヒーと呼ばれます。
生産国では、このパーチメントコーヒーを倉庫などで保管します。
そして出荷直前に脱穀してパーチメントを除去すると、シルバースキンに包まれた種(コーヒー豆)が出てきます。
ナチュラルと比べると果肉に包まれている時間が短く、その分すっきりとしてクリアな味わいとなります。
焙煎店にて
個性際立つナチュラルと、雑味なくクリアなウォッシュト。
美味しい味が強いのも、マズい味が弱いのも、どちらも「美味しさ」ですので、一方の精製法が他方より優れているわけではありません。
ただし、好みはあります。
例えば、浅煎りはクリアなウォッシュト、一方、深く煎るなら強い個性のナチュラル……など、自分の好みを知っていると焙煎店でコーヒー豆を選ぶのに役立ちます。
「どの国のコーヒーが好きか」がはっきりしている場合は比較的多いかと思いますが、それに加えて、自分の好みの精製法を探ってみてはいかがでしょうか。
焙煎店で尋ねてみましょう。
「ナチュラルですか?」「精製法は?」と聞けば教えてくれます。
ナチュラルでもウォッシュトでもない精製法もあります。それは下記の記事で。
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