2種類の焙煎ができますが、そのうちの1つ「直火式」手網焙煎について今回提案します。
「手網焙煎」というと、普通はこちら(直火式)の焙煎を指します。
もう一方のちょっと変わった焙煎は手網コーヒー豆焙煎③[半熱風式(アルミホイル包み)]にて。
手網コーヒー豆焙煎①[準備・工作]で、材料費330円で作成した手網を使って焙煎します。
下記のような市販されている手網でも、この記事と同じように焙煎できますよ。
予備知識
焙煎に必須の予備知識を記述します。
どのような方法で焙煎するとしても、これらの予備知識は必要です。
チャフ
生豆はチャフと呼ばれる薄皮をまとっています。
焙煎の際、チャフが焼けたり乾燥したり、豆の膨張に耐えられなくなったりして剥離します。
熟練者なら、豆の色・香り・煙・音・手に伝わる感触など様々な観点から焙煎の進行具合を把握し、火加減の調整ができます。
しかし、焙煎を始めたばかりでいきなりそれをやれと言われても無理な話。
焙煎の進行具合のよりわかりやすい指標が欲しいところです。
本記事では、焙煎の進行具合のわかりやすい指標として、チャフの剥離を利用することを提案します。
剥がれたチャフはヒラヒラと目立つため、手網を閉じたままでも、振りながらでも、焙煎の進行具合を確認しやすいのです。
詳細は焙煎の手順で後述します。
ハゼ
コーヒー豆は焙煎により2回ハゼ(爆ぜ)ます。
1ハゼ
1ハゼでは破裂音がします……が、そこまで大きな音ではありません。
屋内ならよっぽど騒々しい部屋でない限り聞こえると思いますが、屋外だと音が発散しますから、注意しないと聞き逃すかもしれません。
特に焚き火焙煎だと聞き逃しやすいと思います。
というのも、1ハゼの音と焚き火の穏やかなパチパチという音がよく似ているからです。
2ハゼ
1ハゼが終わり、さらに焙煎が進行すると2ハゼが起こります。
ハゼ(爆ぜ)と言いつつ、2ハゼでは、破裂音というより、揚げ物をしているときのようなピチピチという小刻みな音がします。
苦味が主で、しかし仄かな酸味もあって……という日本でよく知られているコーヒーの味は、この2ハゼが始まったくらいで煎り止め(焙煎を終えること)すると味わえます。
さらに深く煎って、酸味を消したり、苦味を足したり、同時にカラメルのような風味を足したりもできます。
ただし、2ハゼの終わりまでいくと深く煎り過ぎですので、適度なところで止めます。
焙煎
直火式手網焙煎は、焙煎機の直火式に似せた方式です。
焙煎の手順
軍手をして、豆を入れた手網をカセットコンロの火から少し上に離した位置で振ります。
直火式と呼んではいますが、火で直接豆を炙ると焦げますので注意してください。
下記の流れを目標に焙煎します。
チャフが剥離を始めるのが2分より前なら火が強すぎ(手網が火に近すぎ)、3分より後なら火が弱すぎ(手網が火から遠すぎ)です。
加えて、剥離開始から4分間ほどかけてチャフを(ほぼ)全て剥離させれば、それと同じ火加減でその後1、2分加熱することで1ハゼが始まると思います。
「1ハゼの少し前から火力を強めて(手網を火に近づけて)煎り込む」という技術を実践する方もいますが、熟練する前に挑戦すると焦がす危険がありますので、最初は避けた方が無難だと思います。
煎りムラが少なければ1ハゼは2分間程度で終わります。
長すぎた場合には煎りムラが疑われますので、攪拌の頻度を上げるなど対策してください。
通常は1ハゼが落ち着いてから更に1分程度焙煎を進めると2ハゼが始まりますが、1ハゼ終了と2ハゼ開始が重なってしまうこともあります。
ハゼと焙煎度の関係はおおむね下記のとおりです。
- 浅煎り:1ハゼ半ば~1ハゼ終了
- 中煎り:1ハゼ直後~2ハゼ開始
- 深煎り:2ハゼ開始直後~2ハゼ半ば(これを超えると苦過ぎ)
狙った焙煎度で火から下げて(煎り止め)、余熱で焙煎が進まないうちに焙煎豆を冷まします。
その際、豆を手網に入れたままうちわで仰ぐなり手網を振るなりして熱を取ることも可能ですが、大きくて底が平らな(豆が重なり難い)ザルに焙煎豆を移してから風を当てるとより効率的です。
慣れてきたら、味を追求してみよう
最初はあまり細かいことを気にせず、ひとまず「焦がさず焙煎できるようになる」ことを目標にすることを提案します。
そして、少し慣れてきたら、次は「自分なりの味を作る」段階に入ります。
- 1ハゼ開始の2、3分前から、火を強めて(手網を火に近づけて)煎り込む
- 1ハゼの途中で、温度上昇を緩やかにするために1度火を弱める(手網を火から遠ざける)
- より短/長時間で焙煎する
- 最初に弱火で水分を飛ばす(水抜き)
などなど、いろいろと試して自分なりの味作りを楽しんでください。
焙煎後の変化
「焙煎直後の豆は美味しくない」とよく耳にします。
これは半分正しくて、半分間違っています。
焙煎直後は様々な味や香りがやたらと主張して落ち着きがなく、ベストな状態でないという点だけなら事実です。
しかし、だからといって「美味しくない」わけではありませんし、自宅で焙煎している人間だけが楽しめる贅沢な味わいです。
なお、焙煎からおよそ1、2日で味や香りが落ち着いてきます。
その後、煙臭さや苦味が落ち着いたり甘味を感じられるようになったりといったポジティブな変化を示すこともあれば、焙煎直後は独特の風味があってもそれが抜けて寂しい味わいになるといったネガティブな変化を示すこともあります。
豆毎、焙煎毎に異なる味わいのピークを探ることも自宅で焙煎する人間にとっての楽しみの1つです。
焙煎から2~10日のどこかのタイミングでピークが来る豆が多いですが、ピークがもっと遅い豆もあります。
熟成後の味わいが目標通りになるように焙煎できれば「上級者」ですね。
コーヒー豆の熟成/劣化や保存についての詳細は下記の記事に書きましたので、是非ご覧ください。
生豆の購入について
生豆を購入できるお店(特にオンラインショップ)は数多くありますが、実は1kg単位で販売している場合が多く、これから焙煎を始めようと考えている方にとっては少々多いのです。
最初は下記くらいの量が良いと思います。
最近はアウトドアブランドLOGOSでも生豆を扱っています。
100g入りです。少なすぎず多すぎず、絶妙な量ですね。
また、私が焙煎を始めた頃に初めて生豆を購入したのが下記リンクのお店です。
このお店でも少量の生豆を購入できます。
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