精製(Processing)とは、コーヒーの実から種(コーヒー豆)を取り出す行程のこと。
今回は「パルプトナチュラル」「スマトラ式」について記述します。
「ナチュラル」と「ウォッシュト」については別記事(下の記事)で書いています。
コーヒーの実の構造
コーヒーの実は、外側から、皮・果肉・ミューシレージ・パーチメント・シルバースキン・種(コーヒー豆)の順で層になっています。
このうち、皮~パーチメントが除去・脱穀され(この工程がつまり「精製」です)、シルバースキンに包まれた種(コーヒー豆)が出荷されます。
精製法
パルプトナチュラル(Pulped natural)
パルプトナチュラルは、言ってみればウォッシュトとナチュラルの間を取った精製法です。
途中までウォッシュトと同じ工程を辿り、その後ナチュラルと同じように天日干しします。
ウォッシュトと同様にコーヒーの実の皮と薄い果肉を除去すると出てくるパーチメントに包まれた種(パーチメントコーヒー)は、ミューシレージという粘性のある層に包まれています。
ウォッシュトでは水中の微生物にミューシレージを分解させますが、パルプトナチュラルでは、このミューシレージに包まれたパーチメントコーヒーをナチュラルのように天日干しします。
しっかり乾かしたら倉庫に運んで保存し、出荷前に脱穀します。
ウォッシュトとナチュラルを組み合わせたような精製法であり、味わいもそれらの中間になります。
この「パルプトナチュラル」という精製が行われる国として有名なのがブラジルです。
一方、コスタリカでは「ハニー」と呼ばれる精製が行われます。
「パルプトナチュラル」と「ハニー」は、目的の違いなど(未熟な豆を除去することが目的か、それとも味作りが目的か、など)はあれど、基本的には同じ手法です。
皮と果肉を除去する工程では、ミューシレージの一部を除去することがあります。
この工程でどの程度ミューシレージを残すかにより、下記のように呼称が変わります。
[少ししか残さない]ホワイトハニー < イエローハニー < レッドハニー < ブラックハニー[多く残す]
少ししか残さないとウォッシュトのすっさりとした果汁のような味わいに近づき、多めに残すとナチュラルのコク深い赤ワインのような味わいに近づきます。
スマトラ式(Wet hulled)
スマトラ式はインドネシアのスマトラ島で行われる特徴的な精製法で、「マンデリン」の精製法として知られています。
パルプトナチュラルによく似た方法で、皮と果肉を除去してミューシレージに包まれたパーチメントコーヒーを天日干しするところまでは、スマトラ式も一緒です。
でもここからが違います。
というのも、スマトラ島は雨が多く、天日干ししても乾燥に時間がかかるのです。
そこで所要時間短縮のために、生乾きの状態で脱穀(パーチメントやミューシレージを除去)して、再度天日干しする、という精製法が生まれました。
この独特な精製により、大地を思わせる力強いコクと香りが生まれます。
マンデリンがまさにそのような味わいで、非常に特徴的なため「マンデリンばかり飲む」という方も多くいるようですね。
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