手網コーヒー豆焙煎の記事も今回で⑦です。
④~⑥はアウトドアでの焙煎を取り上げましたが、今回は室内での焙煎に戻ります。
実は先日、カフェインレスコーヒーの生豆(コロンビア産)を入手しました。
カフェインレスコーヒーの焙煎は私も初めてでして、まず下調べをして、そして実際に焙煎していきます。
記事の最後に生豆購入のリンクも貼っておきますね。
カフェイン
カフェインは、コーヒーに含まれる苦味成分のうちの1つです。
覚醒作用や気分高揚作用を持つ成分として有名で、コーヒーが眠気覚ましになるのはこのカフェインのおかげです。
一方で、夜間に摂取すると、不眠や睡眠の質の低下の原因になりうるとも言います。
利尿作用もあり、デトックス効果なども期待できるかもしれませんが、夏場の水分補給にコーヒーはあまり良くない(利尿作用により却って水分が失われる)という話も聞きます。
つまりカフェインは一長一短の成分で、うまく付き合えるならば悪いものではありません。
私の場合には大学院生時代の毎日ヘロヘロになるまで頑張っていた時代にコーヒーが心の支えでした。
私はあまりカフェインが効かない体質だと思っていたのですが、今思えば効いていたのでしょうか。
一方で、カフェインに依存してしまうのは問題です。
また、妊娠中・授乳中だからあるいは疾患があるからといった理由でカフェインを避ける方も多いです。
カフェインレス と デカフェ
「カフェインレスコーヒー」という表現をよく耳にするので、てっきり英語圏の国では “Caffeinless coffee” と表現するのかと思ったのですが、調べてみると実は英語圏の国ではこの呼称は使わないようですね。
つまり、「カフェインレス」はどうやら和製英語らしいのです。
では英語圏の国ではどう表現するのかというと “Decaffeinated coffee” とのことです。
“De-” は「除去」「分離」を表す接頭辞ですから、 “Decaffeinated coffee” は「カフェイン除去コーヒー」といった意味合いですね。
“Decaffeinated” を略すと “Decaf” で、これが日本では「デカフェ」と表記されます。
つまり、「カフェインレス」がカフェインが少ないという点に注目した呼称で、「デカフェ」がカフェインを除去した(減らした)という点に注目した呼称であるという相違点はあるかもしれませんが、結局のところどちらで呼称されるコーヒー豆もほぼ同じものであるケースが多いようです。
なお、カフェインレスでもデカフェでも、必ずしもカフェインが完全に除去されているとは限らないようですから、ご注意ください。
今回購入したコーヒー生豆は、スイスウォータープロセス(Swiss water process)によりカフェインを除去しています。
これはカフェイン(水溶性)を水に溶かして除去する方法です。
コーヒーはカフェイン以外の水溶性成分も含んでおり、そういった成分も水に溶け出してしまいますが、カフェイン以外は豆に戻す工程があります。
下調べ:カフェインレスコーヒーの焙煎について
カフェインレスコーヒーの焙煎について、実際の焙煎前に調べてみました。
下記のような情報を見つけました。
- チャフが除去されている
- 1ハゼ開始は通常の豆とほぼ同じタイミングでも、その後の焙煎の進行が早い
- カフェインレスの豆は色が暗く、色合いからは焙煎度が把握し難い
1.チャフが除去されている
「チャフ」って何だろう? という場合は手網焙煎の基本をまとめた下記リンク先をご覧ください。
ここから先に登場する「1ハゼ」という言葉についても上記リンク先で説明しています
カフェインレスコーヒー豆はチャフが極めて少ないです。
おそらくカフェイン除去工程で水につけた際に除去されるのでしょう。
これはつまり焙煎の進行に伴うチャフの剥離がないということで、自宅での焙煎を躊躇う理由の1つ「掃除が面倒」がかなり改善されますね。
一方、焙煎度の進行具合をチャフの剥離から把握することができないのは焙煎の難易度を上げます。
2.1ハゼ開始は通常の豆とほぼ同じタイミングでも、その後の焙煎の進行が早い
「1ハゼ」って何だろう? と思われた方は、手網焙煎の基本をまとめた下記リンク先を是非ご覧ください。
カフェインレスの豆も1ハゼの開始は通常の豆とほぼ同様のタイミングだそうですが、その後はカフェインレスの方が焙煎の進行が早いという情報がありました。
今回の焙煎で事実かどうか確かめましょう。
3.カフェインレスの豆は色が暗く、色合いからは焙煎度が把握し難い
カフェインレスコーヒーは生豆の時点で既にかなり暗い色をしています。
つまりコーヒー豆の色合いから焙煎度を把握しつつ焙煎しようとすると、通常の豆(カフェインを除去していない豆)による焙煎で培った勘が働かないようです。
実際、今回のカフェインレスコーヒー豆もかなり暗めの色味です。
下写真の左が通常のコロンビア、右がカフェインレスのコロンビアです(ただし別の農園の豆です。同じ農園の同じ豆のカフェイン除去処理有りと無しで比較する写真がベストとは思うのですが、手に入りませんでした)。
20gずつ並べてみました。
右側(カフェインレス)は、まるで濡れているような暗い色合いですよね。
また、(カフェインレスでない)ほとんどの生豆は甘い香りがするのですが、今手元にあるカフェインレスの生豆は酸っぱい香りがします。
こんな香りの生豆は初めてでした。
いざ焙煎
いつもは自宅では150gの生豆を焙煎するのですが、実は今回購入したカフェインレスコーヒーの生豆は200gしかありません。
とりあえず今回は100g焙煎して、残る100gは今回の反省を活かしながら別の機会に焙煎しましょう。
下記写真に写っているのが100gの生豆です。
カフェインレスコーヒーだと色合いから焙煎の進み具合が把握し難いため、見た目より音や感触で焙煎度を把握する「半熱風式手網焙煎」でいきます。
手網をアルミホイルで包む「半熱風式手網焙煎」は、一応私の独自手法(似た手法は他にもありますけどね)でして、やり方は下記リンク先に書きました。
さあ、焙煎しましょう!
事前に調べたとおりチャフが剥離しません(生豆時点で既に除かれている)。
よって焙煎の進行具合が分かり難いですが、それでも、いつもの(カフェインレスでない通常の豆を焙煎するときの)感覚を頼りに、開始から8分で1ハゼを始めることを目標に煎りました。
実際には7分55秒で1ハゼが始まり僅かな誤差ですから、事前に調べたとおり1ハゼ開始に要する時間はカフェインレスでもそうでなくてもほぼ変わらないようです。
1ハゼ終了は開始から9分30秒頃で、1分35秒間1ハゼが持続したということです。
いつもなら1ハゼが2分間持続するくらいの火加減だったのですが、実際には1分35秒間しか続かなかった訳ですから、1ハゼ開始からの焙煎の進行はカフェインレスだと早めのようですね。
これも事前に調べたとおりです。
この1ハゼ終了のタイミング(開始から9分30秒)で煎り止めしました。
ミディアムローストくらいのはずですが、それにしては暗めの色です。
これは事前に調べたとおりですので特に意外ではありませんが、色合いから焙煎度を把握しようとするといつもの勘は働かないと思います。
飲んでみよう
焙煎当日に飲みますが、時間をおいて少しだけ味が落ち着いてから淹れました。
カフェインレスの独特な香りが漂う中、口を付けます。
最初に深いコクが来て、最後に甘味が残ります。
通常のコーヒーとは違った味わいですが、ちゃんと美味しいです (*´ω`)
今回のミディアムローストも美味しいのですが、ベストな焙煎度を探りたいところですね。
しかし通常のコーヒーとは味わいが異なるため、今回より深く煎ったら良いのか浅く煎ったら良いのかを考えるときに普段(カフェインレスでない豆の焙煎)の勘が働きません。
最後に
最後までご覧頂いてありがとうございました。
初めてのカフェインレスコーヒー豆焙煎でした。
チャフが除去されていて焙煎に伴う剥離がないことから焙煎度の指標にはできない点と、1ハゼ開始以降は進行が早いという点にさえ注意していれば、普段の経験を活かして焙煎できるようです。
一方で、味わいはカフェインレスでない豆とは異なるため、ベストな焙煎度を探る際には普段の経験は活かし難いですね。
今回私が購入した生豆は実際にお店を訪れて購入したもので、そのお店は残念ながら通販はしていませんが、他のお店のよく似た生豆のリンクを貼っておきます。
まず1kg購入する場合のリンクです。
生豆は1kgくらいの分量で売られていることが多いのですが、特に焙煎を始めたばかりであればそれだと多すぎるという場合もあるでしょう。
より少量を購入したい場合には下記リンクから是非。
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